携帯電話会社が発行するSIMカードはモバイル通信や通話を行う上で、携帯電話やスマホに差し込んで使うものですが、最近、IIJ社からはe-SIM(Embedded-SIM)を使ったサービスが提供されています。
e-SIMとは物理的なSIMカードを利用せずに、e-SIM対応のモバイル機器でソフトウェアを使ってSIMカードと同等の働きをする機能のことを指します。また、1枚の物理的なSIMとは違って、画面で複数のキャリアを選択することもできます。最近ではe-SIM対応のモバイル機器が増えてきています。
物理的なSIMカードは申し込みをしたあとに店頭でSIMカードを受け取ったり、自宅へ郵送されるのを待たなければいけません。ところが、e-SIMであればオンラインで申し込みから利用開始までが出来てしまいます。
現行販売されているiPhoneでは、iOS 12.1 以降を搭載した iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR、またiPadでは、「無印」のもの以外がe-SIMに対応しているモデルがあります。iPad mini第五世代、iPad Air第三世代、FaceID対応のiPad Proです。もちろんWi-Fiモデルではモバイル通信ができませんので、Wi-Fi+セルラーモデルを購入する必要があります。また、ドコモやau、ソフトバンク等のキャリアでiPhoneやiPadを購入した場合はSIMロックがかっていますので、SIMロック解除をしなければいけません。
IIJのe-SIMサービスでは月額1520円で6GBのデータ通信までが可能です。SMSや通話をするとはできません。
2019年9月3日現在では、β版としてサービスが提供されています。これから正式サービスの提供に向けて、サービス品質や消費者の反応を確かめているところなのでしょう。公式サイトでの紹介を読んでいると、通話は大手キャリアのSIMを通して実施し、データ通信はe-SIMを使うような方法が推奨されています。
大手携帯電話会社で4GBから7GBのプランを利用すると月額4980円程度が必要になりますが、これを大手携帯電話会社の1GB以下のプランに乗り換えて、追加でIIJのe-SIMを利用することで月額が3500円程度に抑えられるとしています。キャリアのメールアドレスを確保したうえで、年間では17,760円の節約なのでかなり大きいです。
ただ、私自身はIIJmioの格安SIMを利用しているため、e-SIMを使ってもこれ以上の価格低減は難しそうです。
国内で利用している限りはMVNOのサービスをメインで利用していると、eSIMの出番はないのではないかと思います。また、新しい話しにあまり興味がない人も大手のキャリアでの契約で特に普段は困ることはないので、あえてe-SIMを併用しようという話しにならないのではないかと思います。大手キャリアも積極的にeSIMをアピールすると、MVNOのサービスに流れてしまうお客さんも出てきてしまうことを嫌って、あまり積極的には導入していないのかもしれません。
そんなこともあって、現時点では私の身の回りにはeSIMを便利に使っているという人を見たことがありません。ただ、これから先のことを考えると、物理的なSIMにいつまでも頼ること自体が不自然なので、eSIMが普及するのではないでしょうか。
【2019/10/24追記】
総務省の有識者会議で格安スマホ事業者も機能を活用できるように携帯大手に機能開放を求める求める方向性が示されたことが日経産業新聞で報じられていました。格安スマホ事業者は自社で顧客管理機能を持つ一部の事業者以外は機能を利用できません。総務省は格安スマホ事業者も同様のサービスを利用可能にすることは極めて重要としています。
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