ダイヤモンドオンラインで公開されているコンテンツを見ていると、「能力が低い人は、自分の能力が低いことに気づく能力も低い」という記事がありました。
記事の内容を読むとタイトル通りの事例がいくつか列記されていて、そのあとに「客観的な事実で自分の未熟さに気づかせる」という内容が書かれていました。
この記事、自分に自信がある人ほど、「そうだそうだ」を言いながら読んでいくのではないかと思います。しかし、よくよく考えてみれば、この記事に共感する人の方が本当は危険なのではないかと思います。
まず、「能力が低い」という「能力」とは一体何を指しているのかという定義がありません。世の中に、全方位にわたって能力が低い人などはいません。あまりコミュニケーションに長けていない人がいたとしても、一人でコツコツと積み上げる仕事は力を発揮したりします。
コミュニケーションがあまり上手くなくて、営業に向いていない人に、無理やり、営業をさせているのであれば、それは能力の問題以前に、人の配置の問題です。その人自身の問題ではなく、上司のマネジメント能力がないということを意味しています。
部下や他人の能力をとやかく言う前に自分の能力を疑った方が良いのではないかと思います。
ドラッカーの著書などを読むと、「組織の役目は、人の強みを成果に結び付け、人の弱みを中和することにある」と言っています。やはり、人の個性というものは、そう簡単に変わるものではありませんので、上司の力で欠点を特技になるまで磨くことは、まず不可能と言っても過言ではないでしょう。職場のチームでそれぞれの特技を重ね合わせて、強い組織を作ることを考えなければいけません。
心理学博士の方が書かれた記事ではありましたが、このまま読むと、勘違いした上司が部下の欠点を客観的事実で指摘しすぎて部下を傷つけたり、欠点をどうにかしようという方向に注意が持っていかれて、上司の人や周りの人がそこに注力するようになり、組織の建設的な活動に力が出なくなるのではないかと心配になりました。
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