楽天市場の3980円以上購入で送料無料施策の行く末

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楽天市場では来年の2月から3月ごろから税込3980円以上の購入で送料無料にする仕組みを全店舗統一した基準で導入することを発表しています。楽天市場に出店している各店舗で本施策が納得してもらえるか否かが一つの課題です。

お店によっては送料を無料とすることで必要になるコストを商品代金に上乗せする形になりますので、他のショッピングモールと比較して、同じ商品でも価格が高く見えてしまうような形になるかもしれません。

また、4000円の商品を一つ購入した場合は1点分の送料を商品代として徴収する形になりますが、4000円の商品を二つ購入した場合は2倍の送料を徴収する形になってしまいます。二つのものを一つにして送れば送料は一点分で済みますので、消費者からは割高に見えてしまいます。楽天24などのお店では、たくさん買ったら何%引きにする等のクーポン券を発行することで消費者に還元していますが、消費者から見ると商品個々の価格を比較している時点ではクーポンの値引き分まで意識して比較するのは困難です。また、お店によっては、送料無料の商品を3点購入すれば、もう一点、おまけが付いてくるといった形で送料分を還元しているお店もあります。

さらにメーカー希望小売価格が4000円のもので利ザヤが送料以上稼げない場合、4200円として販売するのかという課題も出てくるのではないかと思います。消費者から見ると、そのショップで購入する意欲が減衰するのではないでしょうか。沖縄などの離島分も送料を同一にすることから、送付元の近くに住んでいる人が遠くに住んでいる人分の送料を補填するような形にもなってしまいます。

送料は完全に別掲にしてもらって、単純に商品代金だけで買い物のときには純粋な商品の価格だけで比較できた方が消費者にとっては便利だとも思います。また、楽天スーパーロジスティクスといった施策を使って物流コストを抑えることで、一律290円等の安い送料が上乗せされる程度であればなお良いと思います。

楽天では昨年から物流への投資を進めています。三木谷社長によれば2000億円を拠出するとのことです。そして、各お店の物流業務を請け負う楽天スーパーロジスティクスというサービスも拡大していることが報じられています。各店舗は全在庫を楽天の物流倉庫に預け、発送は楽天が行う方式です。単純に物流センターを作るだけではなく、倉庫管理システムを開発したり、各拠点から送付先までを配送するドライバーの確保といったことまで進めているようです。店舗によっては物流倉庫までの配送コストがかかるため利用を躊躇しているところもあるようですが、このような楽天としての大規模な投資は各ショップの納得を得るためには重要な施策だと思います。

今回の送料無料施策は楽天が利用しやすいショッピングモールになるのか、逆に割高だと消費者に受け取られて消費者離れの切っ掛けになってしまうのか、非常に大きな分岐点だと思います。来年のサービス開始後のサービスの内容と消費者の反応が気になるところです。

【2019/11/30追記】

優越的地位の濫用にあたるとして、楽天市場の出店者の一部が公正取引委員会に調査を求めたことが共同通信で報道されていました。現在、インターネット上でサービスを提供するいわゆるプラットフォーマーに対する監視や規制を強めているため、今回の要請を受けて調査に乗り出す可能性が十分にあります。以前はAmazonがマーケットプレイスの出店者に対してポイント制度の負担を求めたことも公取の動きにつながったことで見直しが行われています。

楽天市場としてはシンプルな料金体系にしたかったものと思いますが、全店舗に強制することは難しいかもしれません。

【2020/01/23追記】

今年の3月18日から楽天市場では一つの店舗で3980円以上の買い物をすると送料無料になる施策を開始する予定です。楽天市場に出店する人が任意で加入出来る楽天ユニオンはこれが独占禁止法にあたるとして署名を公正取引委員会に提出するなど反対する動きも出ています。

ただ、署名の数は1766件分、2020/01/23現在の楽天市場への出店者数は49533店なので署名はさほど集まっていないようにも見えます。このまま進めば、予定通り3月18日から3980円以上の買い物は送料無料になる形で統一されることになるのではないかと思います。

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ワークマンは楽天市場から撤退

ワークマンが楽天市場から撤退することがわかりました。注文は1月31日の16時までとなっています。そして、2月28日をもって閉店という段取りになっています。

今回の送料無料問題に端を発しているのか、送料無料の件とは全く関係がないのか、その背景は分かりませんが、楽天市場から各ショップが離れていくきっかけにならなければ良いなと思います。

【2020/01/28追記】

流通ニュースを見ていると、ワークマンか3月16日に次世代の通販サイトをオープンすることを報じていました。新サイトでの初年度の売り上げ目標は30億円、うち8割は店舗受け取りを想定していてフランチャイズ加盟店の売り上げにカウントされるようです。

新サイトでは各加盟店の店頭在庫を確認することもできるので、欲しい商品があった場合には簡単にどのお店に行けば良いかも分かるとのことです。

楽天市場での通販を取りやめるのは、この自社新サイトに集約させたい思いがあったようです。

【2020/01/30追記】

楽天市場で送料無料化が3月18日から実施されることの告知が始まりました。昨日、三木谷社長が送料無料化を予定通り実施することを発表したことを受けての対応かと思います。

同一ショップで3980円以上の買い物をすると送料が無料となります。

沖縄や離島の場合は同一ショップで9800円以上の買い物が送料無料となります。

【2020/02/13追記】

楽天は「送料無料」という表現を「送料込み」という表現に改めることを発表しました。送料込みとすれば販売店が自社の販売価格に送料分を上乗せしやすくなります。

確かに送料は無料になるものではありません。確実に運送してもらう会社には支払わなくてはいけないコストとです。「送料込み」という表現の方が確かに適切だと思います。

さらに今回の施策が原因で退店する店舗に対しては出店料の払い戻しなどの支援策を実施することも発表しました。

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