従来、格安スマホを提供しているMVNO事業者はデータ通信の料金は大手と比較して安いものの、通話料金については高めの設定になっていました。例えば、3GBのデータ通信を行う場合、格安スマホのデータ通信料は1500円程度であることに対して、携帯電話大手のキャリアは2倍近い料金になります。
逆に通話に関しては格安スマホ事業者は30秒当たり20円の従量制課金となっているのに対して、大手のキャリアは月に700円程度を払えば5分以内の通話料がすべて無料になるサービスを提供しています。大手キャリアが格安スマホ会社に提供する通話サービスの料金が、データ通信の料金と比較してあまり安くなってきないのが、価格が高止まりしてる原因になります。データ通信には指定電気通信設備制度が適用されており、回線利用料に算定基準があることにより、データ通信料金は毎年1割から2割程度の値下がりがあります。しかし、通話は指定電気通信設備制度の枠外となっています。
楽天モバイル(楽天でんわ)やIIJmio(みおふぉん)などでは独自の通話アプリを準備して、そのアプリを使って発信する通話は定額料金の中に納まったり、格安な通話がでいるようなサービスを実施しています。
これは昔の第二電電のように、基幹網の部分はキャリアが提供するサービスを使わないことで通話料金を安くしています。アプリでは電話番号の前4桁に独自の番号をつけて発信することで割安な通話ができるようになっています。第二電電の時代であれば電話機にアダプターを取り付けて発信することで第二電電が利用されましたが、スマホではアプリを通じて電話をすることで格安な通話ができるようになっています。
しかし、スマホに付いているデフォルトアプリを使って発信してしまうと、格安な通話料金が適用されなくなってしまいますので、結局は高額請求に悩まされてしまったという例もあります。
今後はLineなどによるデータ通信を用いた無料通話がもっと活用されるようになり、回線交換による通話サービスはだんだん無くなっていくのではないかと思っていたのですが、依然として利用される頻度が多いので、何らかの対策が求められているところです。
楽天モバイルが第四のキャリアになるべく設備工事を急いでおり、この本格的なサービス開始が行われれば、スマホの料金に対して革命が起こるのではないかと言われていましたが、現時点では楽天モバイルでは地域限定、5000人限定の無料サポータープランの提供にとどまっており、楽天モバイルのアプローチでも通話料金がどこまで下がるのかは不透明な状況です。
この実情に対して総務省は通話サービスを安く提供できるようにするための方針を打ち出しています。大手の携帯電話会社が格安スマホの会社に回線を貸す際のレンタル料金に基準を設けることで事実上の値下げを求める形になります。データ通信向けのレンタル料金は毎年大きく値下がりしていたのに対して、今回の施策により通話に関しては高止まりしてしまっていたことに対して対策がとられることになります。一部の格安スマホ事業者からは「基準が定められても定額プランの設定は難しい」という声もあるようですが、現時点よりは一歩前進した形になります。
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