すでに航空会社やホテル業界などではダイナミックプライシングが活用されてきていますが、そのほかの業界にもこの動きは急速に広がっていることが日経新聞で報じられていました。ダイナミックプライシングはそのサービスや施設に対する需要に応じて、提供価格を変動させる仕組みです。需要が大きい時期には提供価格は高くなり、需要が少ない時期には提供価格が安くなります。
例えばビックカメラでは2020年度末までに価格をデジタル表示する電子棚札を全面導入して、競合会社の価格をもとに瞬時に商品の価格を変動させる仕組みを導入することにしています。今までのように紙の値札を使っていたら数千点もの商品の取り扱いがある家電量販店では、ダイナミックに値段を変えることは物理的に不可能でしたが、電子棚札の導入やセンターの指令で一気に値段を変更できるシステムの導入により課題が解決することになります。
一方で記事の中ではNTTルパルクという会社の事例が紹介されていました。NTTルパルクはNTTの電話局等、有効活用できる土地を使って駐車場などを運営している会社です。競合企業のWEBサイトを自動的に巡回して近隣の駐車場の新設やリアルタイムの駐車代金を情報収集することで、自社運営の駐車場の最適価格をはじき出すシステムを導入するそうです。これにより、近隣に自社よりも安い駐車場ができれば対抗して値下げをしますし、近隣の他会社の駐車場の方が高ければ値上げをすることもあるようです。
駐車場についても家電量販店の値札と同様に、固定設置されている料金を示す看板があります。この看板の値段を張り替える形になります。当面のうちは担当者が現地に行って料金表示を貼り換えますが、中長期的には遠隔操作で料金表示を即時変更できる次世代看板の導入を目指しています。従来は料金変更は月一の変更が一般的だったようですが、NTTルパルクではこれを週一の頻度まで短縮することとしているそうです。
需要に応じて物の価値を決めるのは理にかなっていますので、これからもダイナミックプライシングにより利益を最適化する動きは活発になりそうです。
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