モバイルWi-Fiサービスは私自身は日本国内では利用したことが無く、主に海外に出張した際にデータ通信を実施するために空港でレンタルしてもらうことが多いです。日本で契約しているスマホを海外に持って行って、ローミングでデータ通信を利用すると、料金が跳ね上がってしまう場合があるためです。
日本国内ではモバイルWi-Fiを利用しなくても、スマホが一台あればテザリング機能で、SIMを搭載できない端末とWi-FiやBluetoothで通信することが出来るので、あまり不便に思ったことはありません。
しかし、SIMにはデータ通信の上限値が設けられている場合が多いので、以前から「使い放題」をうたっているモバイルWi-Fiルーターのサービスがあります。その使い放題のサービスで、今年の春にそのいくつかの会社でトラブルが発生したことがビジネスジャーナルで紹介されていました。
どんなときもWi-Fi
一つは、「どんなときもWi-Fi」というサービスで、2月と3月に通信障害が発生して、4月3日に新規の申し込み受付を停止しました。もう一つは「限界突破Wi-Fi」というサービスで通信速度低下の問題が発生、4月1日から1日ごとの通信速度制限を設けるようになり既存ユーザーに対して返金対応などを実施したそうです。
どんなときもWi-Fiの公式サイトを調べてみると、現時点でも新規の申し込みは停止している状況でした。クレジットカード払いだと、1ヶ月目から24か月目までは月額3480円、25ヶ月目以降は3980円で既存ユーザーに対してサービスを提供しているようです。論理的な接続速度は下りが最大で150Mbps、上りが最大で50Mbpsです。ただ、この速度がいつも保証されているということはなく、ベストエフォートでのサービスになります。
また、データ通信が本当に無制限に利用できるかどうかは、「不正利用・ネットワーク占有レベルの大容量通信をされた場合のみ制限がかかる場合があります」とされています。例えば動画を見るといった一般的な利用方法では制限がかかることはないとしていました。
このようなモバイルWi-Fiサービスも結局は大手のキャリア(MNO)から回線を借りるいわゆるMVNO業者と同じ位置づけで、MNOからSIMカードを発行してもらって事業で活用しています。
MNO業者から容量無制限のSIMカードを発行してもらうパターンと容量制限有のSIMカードを発行してもらって容量を使い切るとともに新たなSIMカードに切り替えていく方式とがあるようです。この切り替え先のSIMカードの調達に支障が出たためにサービスの継続が難しくなったことがITmediaMobileで報じられています。MNO業者自身がデータ利用量無制限のプランをサービス提供していないのと同様に、モバイルWi-Fiサービスも通信料の限界はあることになります。
一方で、UQWiMAXのようなKDDI系列のサービスであれば、継続性、安定性という面では安心感があるかもしれません。月額3880円、WiMAX2+では月間データ量は上限なしとしています。ただし、混雑回避のための速度制限(3日間で10GB以上利用時)という制約は明示されていました。
楽天UN-Limit
今後は楽天のRakuten UN-Limitの提供開始により、楽天の回線エリア内では通信利用が使い放題(auのサービス圏内では5GB以内、5GB超過時は1Mbpsに速度制限)というサービスもスタートしています。月額2980円ですが、先着300万名に限り、無料とするキャンペーンを実施しているので、モバイルWi-Fiサービスを提供している会社については非常に大きな強敵ができたことになります。また、楽天で借りたSIMを対応のスマホに差し込みテザリングをすれば、専用のモバイルWi-Fiサービスに頼る必要もありません。
今の4Gの世界で考えると、モバイルWi-Fiサービスは非常に厳しい局面なのではないかと思います。今後、5Gサービスのエリアが拡大されていったときに、モバイルWi-Fiサービスの新たな活路が開けるのか否かが気になるところです。
【2020/08/25追記】
どんなときもWi-Fiの無制限プランは終了へ
どんなときもWi-Fiの無制限プランの提供を10月31日に終了することを発表しました。関係各社との協議の結果、事業の採算上サービスの継続が難しいと判断したためとされています。
コメント