2019年度の決算で1兆3000億円という巨額の営業赤字を発表していたソフトバンクグループの株主総会が6月25日に開催されました。財務の改善に向けて4兆5000億円の資産売却を続けていましたが、TモバイルUSの株式売却などを通じて、その8割にめどが立ったことを株主総会の中で孫社長は説明しています。
今回の赤字の多くを占めるのは米シェアオフィス大手の「ウィーワーク」社の業績です。本当は株式市場に上場して大きな上場益を見込んでいたのですが、創業者の利益相反や乱脈経営が発覚して上場の計画が頓挫してしまいました。しかも、ソフトバンクグループでは昨年10月に約1兆円の追加支援を決めて多額の損失を計上しています。
追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの感染拡大に伴って外出禁止の動きが広まり、オフィスの需要が大きく減ったことからウィーワーク社の収益にさらに影響が出たのではないかと朝日新聞では4月末に報じられていました。
株主総会では「投資先の決定や管理を社長個人の能力に頼るのは限界があるのではないか」といった質問もあり、ソフトバンクグループが孫社長の手腕一つにかかっているのではないかという不安を投資家が持っていることを浮き彫りにしました。確かに後継者の育成がどこまで進んでいるのかといった面では不安なところもあります。ソフトバンクグループもこれだけ大きな会社になってしまったので、舵取りをしていくのは本当に大変なことなのだと思います。
今回の株主総会で孫社長は70歳代でも社長を続ける可能性に言及したとのことです。逆に言うとソフトバンクグループの中で将来を託すことができる人財がまだ育っていないということを表しているようにも受け取れるため、今後の会社としての安定した成長には不安も残りました。
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