新型コロナウイルスの感染拡大を避けるために、テレワークを推奨する企業が増えています。4月から5月にかけての緊急事態宣言のときには安倍首相は「最低でも7割、極力8割、人との接触を避けるとともに、これからもより一層の協力をお願いしたい」と会見で語っていましたが、緊急事態宣言が解除されてからはジワリジワリと人との接触機会が増えてきています。
結果、東京都や全国における新規感染者数が増加傾向、または高止まりの状態になっており、感染が収束するのか否かなかなか先行きが読めない状況になってきました。
再度のテレワーク率7割要請へ
このような状況を受けて、西村経済再生担当相は、各企業が社員のテレワーク率70%を目指すよう近く経済界に要請する考えを明らかにしました。飲み会をはじめとして大人数の会合を控えることも求めます。
緊急事態宣言解除後にどこまで緩めるとどの程度の感染者が増えるかということが判ってきたところで、今度は規制を強化ということで、ちょうどよい塩梅のところを探っているようにも見えます。
ワクチンが実用化されるまでは、今の状況がこれからも続くことになるので、長期化は避けられません。企業も中長期的な視点でテレワークを標準的な勤務形態と捉える動きが増えてくると思います。先日、テレワークを標準の勤務形態として毎月の定期代を支給することをやめて2023年3月までにオフィススペースは半分にすると発表した富士通のような動きはこれからも他社に広がっていくと考えられます。
オフィス空室率に与える影響
このような動きが広がると、都心のオフィスの空室率が増えていくことが考えられます。調べてみると、オフィス仲介の三鬼商事が発表した6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均空室率は前月比0.33ポイント上昇し1.97%、4ヶ月連続での悪化、今回の上昇率は2010年2月以来の大きさなのだそうです。間違えなく、都心でオフィスの返却は進んでいます。
日本総合研究所は仮に全就業者の1割がテレワークを続けた場合、東京都心の
オフィス空室率は15%近くに跳ね上がると試算しています。出社する人が減れば近隣の飲食店の需要も減り、さらに店舗用スペースの空室も出てくるという結果になります。
住居用物件にも影響
テレワークが常態化していけば、通勤に便利な都心に住むことよりも、家賃の安い郊外に引っ越すことを選択する人も増えて、住居の空室率も増えるかもしれません。大東建託が6月に約2000人に対して実施した調査によれば、コロナ禍を機に都心への引っ越しを考えている人と郊外への引っ越しを考えている人の数がほぼ同数にまでなったということです。
現時点ではコロナ禍が収まった以降の動きが読み切れないので、引っ越しをするか否かもう少し様子を見なければいけないと考えている人も多いと思います。企業がテレワーク推進や郊外のサテライトオフィス設置の姿勢を強めていけば、郊外への引っ越しを考える人の数が更に増える形になりそうです。
今後、働き方が変わっていくことを受けて、今後の経済にどのように影響するのか、自分なりに先行きを想定していかないといけないと思います。
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