Microsoftがパートナー向けに実施するイベント「Inspire 2021」(7月14日〜15日)で、Cloud PCと以前から呼ばれていたクラウド経由で利用できるWindowsを発表するのではないかと報道がありました。
このCloud PCとはいったいどんなものなのでしょう。
調べてみると、あまり難しいものではなく、手元のデバイスをシンクライアントとして利用して、Windowsのサーバー上にある仮想デスクトップにリモートデスクトップでアクセスしMicrosoftOfficeなどを利用できるようにするサービスです。
特に新しい仕組みではなく、会社の機密情報を社外に持ち出されたくないような場合には、今でもよく使われている手法です。機密情報は会社のファイルサーバー上にあり、手元のシンクライアントとして利用しているデバイスにダウンロードをすることはできません。手元のシンクライアントは純粋に仮想デスクトップを画面に照射することしかできません。手元にあるプリンターに印刷することもできません。
とすると、今回のMicrosoftの発表の何が新しいのかというと、Microsoft自身がサービスを提供するところが新しいのでしょう。このサービスを利用することでセキュリティを担保できること以外にどんなメリットがあるでしょう。
一つは、手元のクライアントはネット接続と画面照射がメインの仕事になるので、デバイスが非力なものでも、実用に耐える点があります。また、いろいろな場所、いろいろなハードから同じデスクトップを利用できるので、操作性を統一したり自分好みにカスタマイズした内容がそのまま同じように利用でいるようになる点がメリットです。
逆にデメリットは手元で普通にパソコンを使っているときと比較してコストが多くかかる点、そしてインターネットに接続できる環境が常に必要な点があげられます。
手元のクライアントに使うデバイスとは別にサーバー上の資源を常に使うことになるので、月額いくらかの利用料金がかかることになると思います。サービスが始まってみないと、どの程度の金額になるのかイメージがわきにくいのですが、月々数千円といったオーダーになるのではないでしょうか。
調べていると、すでにMicrosoftでは「Azure Virtual Desktop」として仮想デスクトップサービスの提供を実施しています。こちらは、Azureのリソース消費量に応じて料金が決まります。
今回発表されるサービスは、上記とは異なり「Microsoft 365」のマネージドサービスとして、定額料金で提供することを計画しているようです。
どんなサービスが提供されるのか、今後の発表が楽しみです。
【2021/07/15追記】
報道発表(Windows365)
14日に販売パートナーを対象にしたマイクロソフトのカンファレンスに先立ち報道発表が行われて、クラウドPCの件も明らかになりました。名前はWindows365となります。
Windows365はHTML5に対応したWEBブラウザからアクセスすることができます。端末はWindows、Android、iOS、MacOSといろいろなものが利用できます。
端末側でWEBカメラやUSBメモリ、マイクなどを利用したい場合には、WEBブラウザがこのような機器へのアクセスに対応している必要があります。
サーバー側のリソースは契約者が設定することができて、CPUは最大で8コアまで、メモリは最大32GBまで、ストレージは最大512GBまでとなります。通常のパソコンと比較すると少しスペックが落ちてしまうかもしれません。
Windows365の利用料金は月額固定料金になりますが、今回の報道発表では価格自体は明らかになりませんでした。8月2日からサービスが始まる予定ですがその際に価格も明らかになります。
【2021年8月3日追記】
Windows365のサービス提供開始
昨日からマイクロソフトの月額制仮想デスクトップサービスのWindows365の提供が開始されました。最大300ユーザーまでが利用することができるBusinessと人数無制限のEnterpriseの二種類のプランがあります。
気になる価格は最下位構成だと1仮想CPU、2GBメモリ、64GBストレージで1ユーザー当たり月額2720円(Windowsハイブリッド特典適用時)です。HTML5に対応するWEBブラウザ経由で利用することができてクライアントのOSは問いません。
想像していた価格帯ではありますが、最下位構成のようなロースペックの環境でも1年間使うことで、32,640円かかる計算になります。ビジネス用途ではセキュリティ的にシンクラ環境にしたいけれども、自前でシンクラ環境を整備するのは大変だというときに使うことが想定できますが、個人用とではもう少し価格が安くならないと普及が進むことはないようにも思います。そんなことからも、今回はbusinessとenterpriseの二種類のプランが準備されたのでしょう。
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