非常事態を一部の地域で宣言しているにも関わらず、連日にわたり前週の同じ曜日の新規感染者数を上回る状況が続いていて、感染拡大が収まる状況が見えてきません。そんな中で医療機関は入院患者を受け入れられる余地が減ってきたため、政府では入院するのは重症患者にとどめて、それ以外は自宅療養を進める方針を打ち出すところまできています。
かなりひっ迫した状況であるように思えるのですが、先日、テレビで流れていた政府広報のCMを見ていて、そこで国民に発信されている情報に少し違和感を感じました。
具体的には政府広報で下記のように呼びかけられています。
- 夏休み期間の都道府県をまたぐ移動は控えめに。
- 休暇の分散などで、混雑時期を避け、
- 体調が悪い場合は帰省や旅行は控えて。
- 症状が無くても、帰省や旅行前に積極的に検査を。
この内容はお盆の帰省や旅行を事実上は容認しているように聞こえるメッセージです。今の感染状況から考えると、かなり弱いメッセージであるように感じました。
公開時期から時間が経っているのかとも思い、改めて政府広報の公式サイトで確認したのですが、8月3日公開の新しい情報でした。すでに危機的な状況になっているころです。
こちらが政府広報オンラインです。
一方で8月9日に西村経済再生相が緊急事態宣言が出ている各知事とオンライン会議を実施した際の模様を確認すると、「地方で帰省に伴うクラスターが発生しているとして、お盆の時期の帰省などを控えるよう、呼びかけを徹底する考えを示した」と報道されています。ただ、8月10日のお昼の時点では政府広報オンラインには強い口調の呼びかけには変わっていませんでした。
西村大臣は10日の記者会見で「帰省して親族や同級生で集まることは絶対に避けてもらいたい。今回は自宅でステイホームで過ごしてもらえれば」と改めて呼びかけていますが、政府広報オンラインで配信されているよう内容とはかなり異なります。
このオンライン会議の中で神奈川県の黒岩知事からは「人流を相当強力に抑えないと『デルタ株』の感染爆発といった状況は変えられない。去年春の1回目の緊急事態宣言のレベルに立ち戻り『人と人との接触を8割減らす』など、強い言い方を考えないといけない」と発言があったとされています。確かに、医療の崩壊を防ぐためにはこれくらい強い言い方に切り替えないといけない状況になっていると思います。
現在はその場その場で相手に合わせて伝え方を変えているようにも見えてしまうので、首相、各大臣、政府広報等がまずは国民や各自治体トップに対する方針を同じように発信していくことが大切な局面です。
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