東急百貨店本店の閉店は大きな時代の転換の象徴

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東京の渋谷にある東急百貨店本店が2023年1月31日に営業終了することが発表されました。こちらが開業したのは日本が高度成長を遂げていた昭和40年代初めの1967年11月です。建物は地上9階建(9階は屋上)、地下3階、売場面積は35,367平方メートルととても大きいです。

当時は日本橋の高島屋をはじめ、総合百貨店に買い物客が集まっていました。今で言うところのイオンモールを少し高級にしたような雰囲気だったと例えれば良いでしょうか。

ただ、時代は移り変わって、失われた20年という言葉に象徴されるように日本での高い経済成長もストップ、新たな時代を象徴するような米国のGAFAに相当する規模の事業は残念ながら日本では生み出すことができずに厳しい状況が続きました。子育て等で支出が多い層はなかなか総合百貨店で買い物をするだけの余裕がありません。百貨店の衰退と並行してドン・キホーテのような業態が大きく伸びているのが印象的です。

東急百貨店本店でも1984年には全館のリニューアル、1989年には隣接地にあった駐車場の場所にBunkamuraを開業することで新しい需要を取り込めるように変化してきました。Bunkamuraには映画館、劇場、ミュージアム、ギャラリー、飲食店などがあります。

また、東京ディズニーランドの開業に象徴されるようにレジャーも多様化していったことで、総合百貨店を利用する層は徐々に年配層が増えていったのではないかと思います。

吉祥寺にある東急百貨店を見ても、館内にはニトリや久世福商店など、どちらかというとショッピングモールにあるようなお店を誘致して、何とかお客さんを確保している様子がうかがえます。間違えなく、総合百貨店の時代は終わったのではないかと思いますし、今回の東急百貨店本店が閉館することはその象徴であると思います。

なお、隣接する複合文化施設のBunkamuraは大規模な改修工事を実施するため2023年4月から休館、東急百貨店本店跡地とともに新たな複合施設として生まれ変わることになります。どんな施設がオープンするのか、今から楽しみです。

今流行しているお店も環境が変化している中ではいつか衰退をするときが来ます。時代の変化が激しい中では、何も変わらずに時に身を任せていること自体が大きなリスクになります。ただ、何もかも変えてしまえば、それはまた持ち味を失ってしまうので、何を守って何を変えるのか、この選別の方法がこれからは熟考していくポイントになっていくのでしょう。

 

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