自動車に続きオートバイの分野でも電動化の動き

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 とかく自動車の分野では電動化や燃料電池化などの動きが大きくクローズアップされていますが、2輪車についてはあまり話題になることも今まではあまりありませんでした。2輪車は燃費が4輪車よりも良いので素人考えでは電動化が簡単だと思っていたのですが、調べてみると、その設置スペースの狭さと航続距離、コストなどの問題から4輪車以上に電動化が難しいのだそうです。

 しかし、2020年12月に東京都の小池都知事が、2035年に都内で純ガソリン2輪車の新車販売を禁止すると発言したことで、二輪車の電動化にも注目が集まり始めたとのことです。オートバイを製造、販売する日本の各社でも電動化の動きが出ているので紹介します。

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カワサキの動き

 川崎重工業が2035年までに日本やアメリカなどの先進国に投入するオートバイの主要機種を電気だけで走るタイプ(BEV:バッテリーEV)とハイブリッド車(HEV)にしていくことを発表しました。この中のHEVについては、「エンジンのみ、モーターのみ、エンジンとモーター」という3つのモードを持ちます。その走行シーンに合わせて高速道路ではエンジンのみで走行、エンジンが規制される市街地では電動のみで走行し、ワインディングロードではエンジンとモーターを組み合わせたパワフルなハイブリッドモードが楽しめるといった使い分けができるようになるようです。2025年までには10機種以上を投入することにしています。さらに水素を燃料としたエンジンの開発に取り組むことも発表しました。

ヤマハの動き

 今年の7月にヤマハはすでにCO2排出量の削減に関するプレスリリースを発表しています。今から30年後の2050年には世界的な脱炭素化の加速を受けて100%削減を目指すと大胆な目標を設定、特に2030年以降は電動モビリティに舵を切るとしています。

 ヤマハは1993年に世界初の電動アシスト自転車「YAMAHA PAS」を発売後、電動化に力を入れてきました。電気だけで走るBEVを2030年までに2.6%、2035年までに20.0%、2050年までに90.0%を達成する目標としています。

ホンダの動き

 ホンダは2040年に四輪車のパワートレイン攻勢を100%FCV/EV化することを発表していますが、二輪車については言及していません。ホンダは1994年にEVスクーター「CUV ES」を官公庁や自治体向けに200台限定でリース販売したのが電動化の始まりです。その後、2009年には電動スクーター「EV-neo」を企業や事業者向けにリース販売しています。さらに、2018年には原付二種スクーターEVのPCXエレクトリックを日本と東南アジア各国で発売しています。

PCXエレクトリック

 PCXエレクトリックでは交換式バッテリーを採用しています。バッテリーが空になったら、ホンダの販売店などで充電済みバッテリーと簡単に交換することで、実質的な航続距離を延ばす狙いがあるようです。

 2021年3月には本田技研工業、ヤマハ発動機、ピエラモビリティーAG、ピアッジオ&C SpAの4社で、交換式バッテリーコンソーシアムの創設合意が発表されています。

 ただ、この数年間だけで見ても、バッテリーの単位体積あたりの大容量化、低コスト化はずいぶん進んできているようにも思います。今のまま技術開発が進んでいけばバッテリーを交換しなくても、長距離を走ることができるようにもなっていくと期待したいところです。

ルールチェンジは危機

 今回の二輪車の電動化のような業界のルールが大きく変わる時期は、中国や東南アジア各国等が市場を一気に占有するような状況にもなりかねません。例えば、ブラウン管テレビの世界では、ソニーのトリニトロンなど日本の各社が世界的に見ても技術でリードしていましたが、薄型平面デジタルテレビの普及とともに安い外国産のテレビが日本に押し寄せて市場を占有していきました。二輪車の世界ではこのようなことが起こらないように電動化の技術開発を続けていってほしいです。

【2024年5月31日追記】

自動車の電動化は曲がり角?

 一時は市場で販売されている自動車はそのうちすべてEV化されてしまうのではないかというほどの勢いでEVがもてはやされていましたが、最近になってその動きを見直すような動きも出てきています。やはり充電設備のある場所が限られるので、長距離を走るのには少し不安だということはあると思います。現時点では長距離を運転するのであれば、やはりハイブリッド車の方が安心です。今後、電気自動車の普及の勢いはどのような傾向になるのか、その動きには注目をしたいところです。

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