楽天モバイルが11月11日に実施した決算説明会で、楽天モバイルの山田社長から2023年中にも単月黒字化が可能という認識が示されました。現時点では楽天モバイルの赤字幅は月を追うごとに増大している状況ですが、2022年4月~6月期以降はモバイル事業の収益の改善を見込んでいるとのことです。
赤字脱却の目論見
楽天モバイルが赤字に苦しんでいる主な原因は3点、一つは基地局やセンター、ネットワークの設置等に伴う投資の減価償却費、二つ目は、パートナー回線(au)に支払うローミング費の負担、三つめは無料キャンペーンや1GB未満のデータ通信の契約者がどの程度を占めているかの三つです。
減価償却費
減価償却費の方は定められた期間で償却を続けなければいけません。基地局設置のスピードを速めた分、減価償却の期間は短くなり厚みは増しているのではないかと想定されます。
ローミング費
ローミング費の方は自社回線エリアが広がれば減らすことができます。楽天は一番当初の計画と比べると、かなりの前倒しで基地局の設置を進めて自社回線エリアを広げて、楽天回線の人口カバー率は、2021年10月時点で94.3%までになりました。すでに人口カバー率が70%を超えた都道府県からエローミング契約を終わらせて自社回線のみにしている場所にしています。
各報道によれば、楽天がKDDIに支払っているローミングの費用は1GBの通信量で500円前後と言われています。一方で楽天の料金プランは1GBまでが0円、3GBまでが1078円、ローミングで速度制限が行われる5GBまででは2178円となっているので、楽天は契約者からもらう金額以上にKDDIに支払わなければいけない状況になっています。したがって、ローミング費を減らすことは赤字脱却のためにとても有効な手段です。
お金を払ってくれる契約者の確保
楽天回線の本格的なサービス開始は2020年4月でした。ここから2021年4月までの約1年間は新規契約者は1年間基本料無料で募集を行っていたので、楽天に入ってくる収入はほとんどありません。しかし、今年の4月からは無料キャンペーンが終わって有料期間に入っている契約者が増えてきているかと思います。
ただ、楽天回線の契約者は「1年間無料だったらサブ回線として契約しておこう」と考えて契約した人も多いと思います。現時点でも地方に行った際などに電波がつかみにくいときがあるので、楽天回線をメイン回線にしようと考えた人はまだ少ないと思います。とすると、1GBのデータ通信だったら無料だからとりあえず契約を続けておこうと考えている人が多いはずです。
私の場合はメイン回線はIIJmioの月間データ通信量が4GBのプランです。値段は月額1078円、Wi-Fi環境で使うことも多いのでこれで十分です。NTTドコモの回線なので通信できるエリアに不満はありません。したがって、楽天モバイルはサブ回線で1GB未満での運用、メイン回線はIIJmioという組み合わせのままで使っています。(楽天モバイルに加入していれば、楽天市場でSPUでのポイント還元倍率がプラス1倍になるのが魅力です)
今後の行方
基地局に関してはこれからも設置を続けて、ほかのキャリアと比べても遜色ないエリアにすることで、契約者がメイン回線にしても大丈夫だという安心感を持たせることが真っ先に必要なことだと思います。プラチナバンドを持っていないので、地下や建物の中などではどうしても電波が回り込みにくく通信をしずらい状況になるのは利用者にとっては大きな不安につながるので、やはりプラチナバンドの確保が今後は必須になるでしょう。あとは、どの程度の契約者がお金を払って楽天モバイルを使おうという気持ちになるかどうかが黒字化の勝負どころです。ここの詳しい情報は発表されていないようで探してみても見つけることができませんでした。今後の楽天モバイルの売り上げがどのように伸びていくか見ていくと状況を推測できるのかもしれません。
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