IT現場における瑕疵対応の違和感(ITの常識は社会の非常識?)

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 最近、IT業界(特にシステムインテグレーション分野)における瑕疵対応の考え方について違和感を感じているところがあります。

 例えば、洗濯機が壊れて、洗濯物に傷がついたり、破れてしまったとします。洗濯機のメーカーが保証書の規定に基づいて購入後一年以内で対応してくれるのは、洗濯機の部品交換を行なって、洗濯機が元の機能を回復するところまでとなります。

 もちろん、傷ついたり破れたりした洗濯物を調べたり、洗濯物の傷を補修してくれることはありません。

 もしかすると、あまりにもメーカーの悪質なものによる故障であれば、損害賠償請求をすれば、洗濯物の補修代金の一部を回収できるかもしれません。

 しかし、裁判などで、説明書通りに正しく洗濯機を使っていたか、洗濯物を詰め込みすぎていなかったかなど、自分側の過失も評価されて、過失割合が決まりますので、満額保証されることは稀でしょう。

 ITの現場で業者が瑕疵対応で何をやっているかを考えてみると、プログラムの修正や試験、リリースはもちろんですが、データベースの内容を間違えて更新してしまった場合はその影響範囲の確認、必要な範囲でデータベースのデータ修正など非常に多岐にわたります。これは、瑕疵対応の範囲を大きく超えていると、最近では疑問に思い始めました。

 また、こちらの弁護士のサイトを読むと、バクが出たからイコール瑕疵というわけではないとされています。

コラム | 弁護士 坂生雄一
ネット・ウェブサービスの法律相談・契約書作成は 弁護士坂生雄一
プログラムのバグは「瑕疵」にあたるか

 特に東京地裁の判例の中で下記の記載が興味深いです。

プログラム納入者が不具合発生の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終え、又はユーザーと協議の上相当と認める代替措置を講じたときは、右バグの存在をもってプログラムの欠陥(瑕疵)と評価することはできないものというべきである。

 逆にいうと遅滞なく補修ができないほど多くのバグが出ていれば、瑕疵対応すべきという判断になります。

 ITの現場の常識は、社会から見ると非常識な状況になってしまっているかもしれません。今一度、ITの業界団体などで、瑕疵の基準を明確にして社会に浸透させていく必要がありそうです。

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