米国Apple社が動画や電子書籍などのアプリで利用者を外部サイトに誘導するためのリンクを設置できるようにしたことをアプリ開発者向けのブログで発表しました。動画や電子書籍などのサービスを提供する企業はAppleによる審査を受けた上でリンクを設置できます。
今回の緩和措置により、アプリを利用している人はリンクを辿って外部のサイトでアカウントの開設やサブスクリプションなどの契約ができるようになります。
従来はAppleはリンクで外部に誘導することは許しておらず、全てAppleの決済基盤上で手続きをするか、パソコンなどで外部のサイトを開く必要がありました。
例えば、AmazonのKindleアプリ上では現在は電子書籍を買うことはできません。もし、Kindleアプリ上で書籍を購入させると、Appleの決済基盤を利用せざるを得ず、Appleに高率の手数料を支払う必要があり、本来の価格で書籍を販売できなくなるためです。仕方なく、アプリでは書籍を購入する機能を排除して、外部のAmazonのサイトでブラウザなどを使って購入する必要がありました。さらにアプリに電子書籍を販売するサイトへのリンクすら掲載が許されていませんでした。
楽天Koboについても同様です。リーダーアプリからは本を買うことができませんし、リンクすらありません。リーダーを使う人は一体どうしていいのか、全くわかりません。このようなサービス提供会社や消費者に対して不利な条件を突きつけ続けるのは、さすがに問題なのだと思います。日本の公正取引委員会も独占禁止法にあたる可能性があることを示唆していました。
なぜ、Appleはこのような仕組みをとっていたのでしょう。それは、Appleの決済基盤を使うことで、Appleが定められた割合の料金を徴収できたためです。しかし、スマホやオペレーティングシステムを提供する会社(巨大インフラ企業)が決済の仕組みまで独占することについては批判的な意見が多かったのも事実です。
ただし、制限が緩和されたとは言っても、まだ制約が残ります。
- アプリに表示できるのはリンクのみ
- 外部サイトにおけるコンテンツやサービスの価格を示すことは禁じる
- Appleが外部サイトにおける取引に関してプライバシー保護などの責任を負わないことを明記した画面を挿入する
- ゲームアプリに関しては緩和措置の対象外「リンクを設置できない)
今回のApp Storeの新規則は、雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオを主要な機能として提供するアプリを対象に、世界で適用されます。
ゲームについては、カリフォルニア州の連邦地裁がリンクの設置容認を命じていますが、上級審での訴訟が続いています。
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