経済産業省が4月12日に実施した審議会で、今年の12月から来年3月までの電力需給の見通しを示しました。この内容によると、もしも10年に一度の厳しい寒さを想定した場合には、東京電力管内では3%以上は必要だとされている予備率が、来年1月はマイナス1.7%、来年2月はマイナス1.5%になると予測しており、現時点では電力が十分に確保できない状況になっていることを示唆しています。
特に2月は「2012年度以降で最も厳しい」見通しで、東京以外でも中部、北陸、関西、中国、四国、九州各電力会社の管内は厳しいと予測されています。
西日本では、当初は今年の9月以降に稼働を想定していた九州電力の玄海原子力発電所3、4号機(計236万キロワット)が、テロ対策などによる工事期間の変更により23年1ー2月まで再開できなくなったことも影響しました。
そのため、このまま電力の需給バランスが整わないまま推移すれば、万が一(ぶっラックアウト)に備えた計画停電が必要になるとの見方もあわせて示しました。
なぜ、これほどまでに電力の供給量が不足しているかと言えば、老朽化した火力発電所の休止や廃止が相次いでいることと、3月に発生した東北地方の震度6強の地震によって火力発電所の設備が壊れて、現在も復旧の目途がたっていないことに起因しています。
東京電力管内では1月までに再稼働の可能性を検討している火力発電所はたった1基(58万キロワット)にとどまっているので、予備率3%の確保は難しい状況です。
火力発電所の老朽化はずっと前から判っていたことだと思うのですが、なぜ代替となる発電所の建設が進んでこなかったのでしょう。また、この冬にかけて、新たな災害が発生し発電所が被害を受けるリスクもあるので、予備がほとんどない状況はとても回避しなければいけません。
経済産業省では追加の供給量を確保するための対策を急ぐとしています。また、需給ひっ迫を回避するためには需要側の対策も準備する必要があると指摘しています。家庭では電気を使わなくても暖房ができる石油ストーブの準備等が必要になるかもしれません。
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