先日のauにおける通信障害は全面復旧までに実に86時間も要しました。auの利用者は119番や110番の緊急通報ができなかったほか、銀行のATMや宅配などにも影響を与えました。
通信事業者が安定した回線を提供する努力を続けなければいけないことは間違えないですが、業者がどう頑張っても100%安心安全な回線網を構築することはできません。設備の冗長化等で、ある装置が故障しても網全体には影響を与えないよう、通信事業者は予め手を打っていますが、どこまでやってもある一定の確率で、今回のような全面断や部分障害は発生してしまいます。
今回は参院選の直前だったためなのか、総務省はキャリアに対して是正指示をするのにとどまり、あまり、日本の通信インフラを全体としてどう信頼性をアップさせるか?という視点での発言がありませんでした。しかし、参院選も終わってここに来て変化が生じているようです。
金子総務大臣は記者会見の中で、「通信障害などが発生した場合、一時的に他社の通信網を利用できるローミングの導入について検討することを明らかにしました。鉄道が動けなくなってしまった場合に実施する他社への振替乗車のようなものです。
今回のauの事故を見ていて、やはり通信業界においても、振替乗車は絶対に必要なのではないかと思っていました。総務省が業者を責めるだけではなく、広い視点で動いてくれたことが嬉しいです。
ただ、ローミングは技術的にはできたとしても、考慮すべき点は多くあります。まずは、性能、あるキャリアが不通になったときに、その利用者が一気に別のキャリアの通信を使い始めたら、容量が足らずにパンクしてしまうかもしれません。全てをローミングするのではなく、緊急通報のような優先順位の高い通信を優先的にローミングできるようにする配慮が必要かもしれません。
また、ローミング時の料金の回収をどうするかという問題もあります。あまり細かい算定はせずに、どのキャリアでも同じ確率で通信障害が発生しローミングする場合があり得るという前提に立って、包括的な提携をした方が良いのではないかとも思います。あまり、一つの業者ばかりがトラブルが多発して他社にローミングすることが多くなるような事象が発生せた場合には、トラブルが多発している業者に対して行政指導をしていくのでしょう。
ぜひ、ローミングが実現できるように総務省には検討を進めてほしいと思います。
コメント