先日来の東北地方の大雨の影響で、鉄道関係の被災状況に関する報道が多くあります。磐越西線の喜多方~山都間における鉄橋の崩落はその修復にどの程度の期間と費用がかかるのか心配です。磐越西線の会津若松と新津の間は、蒸気機関車C57形180号機が牽引する「SLばんえつ物語」の運転でも知られる区間です。
一方では、会津若松~新潟間で運転された快速「あがの」が今年3月のダイヤ改正をもって運転取りやめとなりました。
このほど発表された情報によれば、磐越西線の喜多方と野沢の間の区間は2019年度の旅客数は1日あたり534人、1987年度には1992人の乗客数があったので、乗客数が大幅に減少しています。
ローカル線のあり方を検討する国土交通省の有識者会議では、1日1キロメートルあたりの利用者数が1000人未満などの危機的な状況にある路線について、国、自治体、鉄道事業者が存廃を協議するための枠組み創設を柱とする提言をまとめています。
既にローカル線は人口減少や自動車を利用する人の増加、都市部への人の流れで、災害がなくても持続できるか否か不安視されている中で、さらに災害の復旧費用がのしかかってくると、持続できるか否か、さらに厳しい状況にさらされているのではないかと思います。
他にも、JR米坂線の鉄橋が崩落しているという報道があります。
一方で箱根登山鉄道のように災害から見事に蘇った鉄道も多くあります。赤字ローカル線を今後どうするのかという議論に加えて、災害を受けたローカル線についても、今後の災害復旧を進めるか、バスなどへの転換を進めるか、議論が行われるのではないかと思います。
今も出生率は低いままなので、今後、何十年にもわたって人口減少は加速していきます。2060年には2010年の人口の32.3%減である8674万人になると推計されています。
どんなに国内の観光需要が喚起できても、外国人観光客が増えてローカル線の利用者が増えたとしても、これだけの落ち込みを埋めて、さらに増加、ローカル線を黒字にするほどの効果を期待するのは無理でしょう。
銚子電鉄のようにぬれ煎餅販売などの非鉄道部門の売上と利益でカバーするという解もあり得ますが、やはり本来の姿とは違うような気がします。
有識者会議、政治家、自治体は誰もがはっきりと言いませんが、一部の黒字路線を除いて、公共交通機関として鉄道を維持することは困難なのではないでしょうか。
自動車の運転をしないお年寄りや学生などの移動手段をどうするか等、鉄道を廃止するか存続するかの議論の先にあることも、よく考えていかなければいけない状況になってきました。
【2022/08/10追記】
青森県で発生した豪雨被害により五能線の鉄橋に支障が発生し、五能線が運転できない状況になっています。この橋梁の工事にも相応の費用と時間がかかりそうです。
鉄道利用客の減少、災害の激甚化に伴い、ますますローカル線の維持継続が難しくなっています。
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