日本経済新聞に「家余り1000万戸時代へ 活用か解体か”住宅リストラ”待ったなし」という記事が掲載されていました。この記事によれば、2023年には住宅の総数(最大6546万戸:野村総合研究所)が世帯数に対して約1000万個も過剰になる時代が到来するという驚くような数字がのっています。
確かに地方に行くと空き家が目立つようになっているほか、東京都内の人気のあるエリアでも長い間にわたって空き家になったままの家を見ることがあります。
郊外であればなかなか売りにくいという場合が多いと思うのですが、都内の人気エリアに関してはもしも売ればすぐに売れるような場所なので、「売れない」というよりも何らかの事情で売っていないのではないかと思います。
日本では少子化に伴う人口減が続いていきますが、新築中心の住宅産業育成を続けていることが背景にあるとしています。確かにマンションは需要がとても活発で、2021年時点でも価格の上昇が続いています。
特に東京23区内の新築マンション価格高騰が著しく、ついで東京都下と続き、神奈川、埼玉、千葉では価格が落ち着いてきたように見えます。素人が考えると、人口減が続き、空き家が増えていく(需要が減って供給が増える)と、新築物件が売れにくい状況になって価格が落ちていくような予感がするのですが、この先どうなるのでしょう。
従来は住宅ローン金利がゼロ金利政策もあいまって非常に安くなっていたのに対して、欧米諸国が景気引き締めのために政策金利を上げていることから、日本でも少し警戒感が強まっても良い時期に来ているのではないかと思いますが、それでも変動金利型の住宅ローンを選ぶ人が増えているという報道もあるので、金利の動向についてはこの先が気になるところです。
牧野知宏氏弘氏の「空き家問題1000万戸の衝撃」(祥伝社新書)によれば、このままで行くと、2040年には10軒に4軒が空き家になるという更に衝撃的な数字もあります。ここまで空き家が増えてしまうと、もはや新築マンションや郊外の新築住宅分譲地を販売している場合ではなく、空き家の再利用方法を考えなければいけない状況になってきています。
秩父などの歴史のある町では古い家屋をリノベーションして、宿泊施設として貸し出す取り組みをしている自治体も増えてきました。新しく、ホテルなどを新築するよりもエコな取り組みだと思います。ただ、このような宿泊施設としての転用も、期待できる数はそこまで多くはありません。
なかには「空き家活用株式会社(アキカツ)」という会社が世田谷区とタイアップして、空き家の扱いで悩んでいる人のための相談カウンター(せたがや空き家活用ナビ)を設けている場合もあります。この取り組みでは、相続や売却に無料で相談して貰えるということなので、面白い取り組みだと思います。
各自治体では空き家バンクを創設して、ホームページなどで空き家を公開している場合もあります。たとえば、秩父市でも近隣自治体(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町)と一緒になって空き家バンクを公開しています。その情報を見ると、掲載されている100件近くの全ての物件が売却済みになっているので、人気が出ているようです。秩父市は池袋から電車一本で行けることもあって、ちょうどよい田舎として需要が高いのでしょう。
実はこのような取り組みは、練馬区、小金井市、国分寺市、町田市、日野市などの東京都内の自治体でも行われています。
各自治体も空き家に関する問題については取り組みを強化しています。
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