楽天モバイルは通信可能エリアを極限まで増やすため、楽天グループが出資している米・AST SpaceMobile(AST)と低軌道衛星を使って宇宙から送信するモバイルブロードバンドネットワークを構築する「スペースモバイル」プロジェクトを進めています。
スペースモバイルプロジェクトとは
日本の携帯キャリアの面積カバー率は国土の70%程度と言われている中では、人が暮らすエリアでは通信ができても、人里を離れた場所や往来があまりない場所では電波が通じない場所が多くあります。
スペースモバイルプロジェクトによって、今まで携帯の電波が届かなかったエリアや災害で被災したエリアなどにおいても通信ができるようになります。
「衛星通信」と聞くと特別な通信機能を持った端末が必要になるイメージがありますが、このスペースモバイルプロジェクトでは通常のスマホや携帯電話の通信サービスを利用することができます。(サービス開始当初は4Gの通信方式を利用予定。地上設備を更新すれば5G等の通信方式にも対応可能)
すでに、9月10日には楽天が出資するAST SpaceMobileが試験衛星「BlueWalker 3」を打ち上げたことを発表したことが報じられています。また、今月中には軌道上で超大型アンテナの展開を予定しています。着々とスペースモバイルプロジェクトが進んでいます。
衛星通信の速度
9月28日、29日の2日間にわたって開催されている、Rakuten Optimism 2022のキーノートセッションで三木谷社長はYouTubeを鑑賞できる2Mbps程度にはなると説明したことが報じられています。
iPhone14との比較
先日、iPhone14が発売されて、衛星通信機能が搭載されました。
しかし、こちらに搭載されている衛星通信機能は緊急時などに選択式のメッセージを選んで、現在位置の情報とともにAppleのコンタクトセンターに送ることができるというサービスで、基地局のあるエリアと同等の通信サービスを受けられるようなものではありません。命を守る最小限の機能を充足したイメージの衛星通信機能です。
一方で楽天で進めているスペースモバイルプロジェクトは、通常の通信サービスを基地局が無いエリアでも受けられるようになるという意味で、かなり画期的なサービスになります。
実効的な通信速度
問題は一斉に衛星通信機能を利用する人が増えると、いわゆる携帯基地局のパケ詰まりと同じように通信がほとんどできない状態になってしまいます。これから楽天では必要な免許の申請を進めつつ、衛星通信の試験を進めていきますが、その中でチューニングを進めていって、正式なサービスインにつなげていくのでしょう。
個人的には基地局のないようなエリアで各種の動画サービスを視聴する絶対的な必要性は低いようにも感じるので、サービス当初は回線負荷の高い動画サービスは利用できないようにしても良いのではないかとも思います。
ブレークスルー
もし、スペースモバイルプロジェクトがサービスインを迎えることができれば、ワールドワイドでも技術的なブレークスルーを果たしたことにもなります。今後が楽しみなプロジェクトです。
なお、楽天モバイルが衛星を使った直接通信サービスを開始するのは、2026年を目指しています。
コメント