JR九州が熊本と鳥栖間で運転している観光列車「SL人吉」を2024年3月頃で運転終了することを発表しました。
プレートには「58654」と刻まれている蒸気機関車です。日本でポピュラーな国鉄時代の蒸気機関車と言えば、デゴイチの「D51」のように、アルファベットと2桁の数字の組み合わせが一般的です。
車齢100年の古い蒸気機関車
D51などの型番をつける前の命名規則は番号のみで構成されています。「58654」号機の場合は、8620型蒸気機関車で、1922年の製造、すでに車齢が100年を超えているほど古い機関車です。部品の調達や技術者の確保などメンテナンス体制に限界が生じていることが引退の理由と報じられていました。大規模なオーバーホールをするにもその予算の捻出は難しかったのかもしれません。
国産の旅客牽引用の蒸気機関車として8620型蒸気機関車は大量に作られました。同様に貨物用の蒸気機関車として、9600型蒸気機関車があります。
機関車の型番の付け方
8620と58654の関係ですが、それは製造順の番号の付与ルールと関係しています。1番目に作った8620形蒸気機関車はそのまま「8620」、2番目は「8621」、3番目は「8622」と付番していきます。しかし、8700型蒸気機関車は既にあったので、81番目の製造車両は頭に1を付けて、18620としました。従って、58654号機は435両目という計算になります。(Wikipediaより要約)
58654号機の歴史
58654号機は1975年まで現役で走行して、その後は人吉市で保存車両となっていました。場所は肥薩線矢岳駅前の人吉市SL展示館です。新製から廃車までに走行した距離は300万Kmあまりということなので、本当にすごい距離です。
1988年にSLあそBOYとして復活して、以来、34年にわたって観光列車の牽引を続けてきました。途中、2007年には四億円を投じて大規模な修繕が行われています。
もう一つの動態保存機
動態保存されている8620型蒸気機関車は、このほかに京都鉄道博物館に保存されている「8630」があります。こちらは更に製造されたのが古くて1914年製で1972年に梅小路蒸気機関車館開館時に保存されました。
他の鉄道会社では引き取れないか
今回はJR九州ではメンテナンスを継続することが難しいという判断に至りました。しかし、ボイラーから台座に至るまで大規模な作り直しが行われてきたものだけに、ここで廃車にするのはとてももったいないです。
大井川鐵道や秩父鉄道、東武鉄道など、蒸気機関車の運転に力を入れている会社で何とか運転を継続することができないかと期待したいです。
コメント