みずほとLINEが提携した新銀行は環境変化に伴い開業断念へ

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 LINEとみずほフィナンシャルグループは2018年に共同で銀行を設立することを発表、2019年にはLINE Bank設立準備会社を設立していましたが、この新銀行の開業を断念したことが各マスコミで報道されています。当初は2020年の開業を目指していましたが、その後、2022年に延期、その2022年の開業も間に合っていませんでした。

 なお、2023年3月時点のLINE Bank設立準備会社の資本金と資本準備金合計は合計で255億円にのぼります。プロジェクトの中止に伴い、LINE Bankは解散・精算手続きが進められます。

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時代の変化とシステム開発コストの高騰

 みずほフィナンシャルグループとしては、キャッシュレス時代に向けた新たな金融機関のモデル作り、LINEとしては新たな金融業務への幅だしという意味があったのだと思いますが、ネット銀行をめぐる競争が激しくなっていることや、システムの開発に多額のコストがかかることが中止の背景にあるのではないかと報道されています。

 LINE自体も2019年にはZHD配下の会社となり、Yahoo!やPayPayと近い位置づけの会社となっています。こちらの陣営には旧ジャパンネット銀行の流れをくむPayPay銀行がありますので、あえて多額のお金を投じて銀行システムを作ることの意義が薄れてきていたと考えられます。LINEの豊富な顧客基盤はできればPayPay銀行に引き継いでいきたいという思いがあってもよさそうです。

 2018年当時とはまったく経営環境が変わってしまっているため、今回の意思決定は致し方ないことなのだと思いますが、今後、変化の激しい時代の中で新たに数年かけて銀行システムを構築するという投資は難しくなっているということの象徴的な案件だと思いました。

 最初からドカンと大きなシステムを構想するのではなく、少しずつLINEに新たな金融機能を付け加えながらリリースして、顧客の反応を見ながらアジャイル的に組み立てて行くような進め方をせざるを得ないということなのかもしれません。

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