つくばエクスプレス(以下、TX)は東京の秋葉原とつくばを結ぶ鉄道です。筑波研究学園都市と東京都心を結ぶ鉄道として、2005年8月24日に開業しました。常磐線の混雑解消や首都圏の宅地供給も目的としています。この路線が開業したことで、流山おおたかの森駅や柏の葉キャンパス駅などの周りで宅地開発が盛んに進められています。
TXの最高時速は130Km/hで秋葉原駅とつくば駅の間(約60Km)を最速で45分で結んでいます。
当初は開業20年後(2025年度)に単年度黒字を目指すとされていましたが、利用者の予想を上回る増加により、2008年度に営業黒字を達成しました。さらに、2017年には累積損失すら解消し利益剰余金を計上しています。
そんな、つくばエクスプレスの茨城県内の延伸先について第三者委員会が議論を続けていました。茨城県は2018年度からの県政運営の基本方針となる総合計画に、TXの延伸先候補地として、「土浦」、「水戸」、「茨城空港」、「筑波山」の四案を盛り込んでいました。その中から一つの候補地に絞り込むために第三者委員会が検討を続けて、3月31日に「土浦」を延伸先とする提言書をまとめて茨城県知事に提出しました。
土浦が選ばれた理由は、4つの案の中で常磐線への接続が最短、かつコストも最小で整備費用に対する利益の比率が高かったためです。しかし、土浦延伸時の収支採算性は赤字が見込まれることが大きな課題となります。(東京新聞の記事によれば、概算事業費は1400億円、年間収支は3億円の赤字と計算されています)
土浦に延伸することで、東京と片道2時間で行き来ができる圏内の人口が増えますが、つくば駅から先の区間について住宅建設等が加速されるか否かは未知数です。
茨城県は2050年ごろの構想という形で進めてきていますので、実現されることになったとしても、実際に開通するのは、まだまだ先のことになります。
人口の推計によれば2050年は日本国内の総人口は9515万人、高齢化率が39.6%と予測されています。2004年12月の総人口ピークの際には12,784万人、高齢化率は19.6%でしたので、かなり深刻な状況です。首都圏における鉄道も赤字の路線が目立ってきており、今後は鉄道の在り方について沿線自治体が議論を積み重ねていきます。このようなことが議論されている2050年に向けて新たな鉄道を郊外に向けて建設するのは、かなり厳しい計画であるようにも思えます。
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