2023年5月23日の朝、JR東日本の大船駅で、国府津駅発高崎行きの普通電車が貨物線に誤って進入するトラブルが発生しました。国府津駅から高崎駅へ向かう線路上には、大船駅の手前約0.9Kmの場所に旅客線と貨物線を切り替える分岐があります。ここで、東海道線の電車が貨物線に入ってしまい、対策を検討した結果、その電車はそのまま武蔵小杉駅方面に走行する結果になりました。
JR東日本はこのトラブルの直接の原因として、運行システムが直前の列車の通過を検知することができずに、線路が貨物線から旅客線に切り替わっていなかったことを明らかにしました。
このトラブルが発生する約3分前にレールを運搬するための臨時列車がトラブルのあった分岐を通って貨物線に進入しています。実はこのレール運搬車がトラブルの原因はでないか?ということは、Twitterでささやかれていたした。
この臨時列車が分岐を通過した際に検知器が反応せずに本来は旅客線側に切り替わるべき分岐機が貨物線側のままとなりました。JRでは臨時列車の車輪やレールの錆、汚れが検知を妨げたのではないかと見ています。
さらにヒューマンエラーも重なりました。信号機は分岐に連動しているので、貨物線側が黄色、旅客線側は赤でした。運転士は旅客線側に行くことを意識し信号を見ていれば、分岐に入る前に停止する必要がありました。
実はJR東日本では3月にも川越線で単線の区間に上下双方の列車が進入するというトラブルを起こしています。
この事故についてはこちらで紹介しています。
最近のJR東日本は合理化を進めるがあまり、安全が犠牲になっていることはないのでしょうか。
信号機や保安装置、分機器などは列車の安全な運行を保証するための生命線です。
1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常があるというハインリッヒの法則があります。
重大事故の裏ではいわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというものですが、今回の事故は29件の軽微な事故に相当する物です。重大事故が発生する前に、なぜ検知器が動作しなかったのか、なぜ運転士が信号を見落としたのかといった本質的な原因を見つけて再発防止策を立て発表して欲しいです。
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