ダイハツの不正と日本のモノづくりへの不信感

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12月20日の午後3時過ぎから各報道機関で一斉にダイハツの不正を報じ始めました。ダイハツは国の認証を取得する際の不正に関わる問題で新たに25の試験項目で174件の不正が見つかったことで、国内外のすべての車種で出荷停止を決めました。しかも不正が始まったのは1989年からとなります。安全にかかわる問題であることから、あまりにも大きな不祥事なので驚くばかりです。今回、新たに発覚した不正を3つに分類すると下記のようになります。

  • 不正加工・調整類型:28個(エアバッグのタイマー着火など)
  • 虚偽記載類型:143個(試験結果の虚偽記載など)
  • 元データの不正操作類型:3個(助手席頭部加速度データの書き換えなど)

2023年4月に海外向けの乗用車の衝突試験で不正が発覚、その後には国内向けの車種で国の認証を不正に取得したことが明らかになっています。

ダイハツの車だけで車種は64車種、ほかにOEMでトヨタに出荷している車種が22車種、スバルが9車種、マツダが2車種です。これから出荷しようとしていた車を出荷停止にすることは当たり前のことですが、すでに出荷し街中で乗られている車に対しては、どのように安全性を証明するのでしょうか。

ある意味、中古車販売のビッグモーターがゴルフボールで車の車体をたたいて保険金をかさまし請求していた問題以上に、人の命に係るという面で厳しい問題だと思います。ダイハツはトヨタの完全子会社ですが、トヨタも一体となった対策が必要となることは間違えありません。

12月20日に行われたトヨタとダイハツの記者会見では、これだけ大きな事件であるにんも関わらず、トヨタの会長や社長が出席しなかったことに対して質問が行われていました。また、トヨタの人がダイハツに天下りをして経営陣に名を連ねていたのに、今回の不正事案をなぜ見抜けなかったのかという日経クロステック記者からの厳しい質問もありました。奥平社長はダイハツの経営に携わった際に現場の人も含めて真面目に仕事に取り組んでいることから非常にしっかりとしていると誤認したことが問題だったかもしれないと回答しています。

日本の車の信頼性を根底から覆すような事案です。

ダイハツの車を購入して納車待ちだったお客さんは、いつになったら納車されることになるのか分からない状況になってしまいました。早く納車してほしいという気持ちと、安全性が疑われる状況で受け取ることに対して生じる疑問が錯綜する状況なのではないかと思います。現時点では徹底した再発防止策を実施するといった説明に終始し具体的な説明を聞くことはできませんでした。トヨタおよびダイハツがどのような対策をとるのかが今後の焦点です。

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