昇格選考におけるインバスケット研修の受講

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以前勤めていた会社は課長への昇格選考の一つにインバスケット研修が取り入れられていました。インバスケット研修やグループディスカッションなどいくつかのテーマがあり、それらのテーマを受講した結果が一般企業の課長相当を少し下回る基準を上回らなければ昇格候補から外されるという運用が行われていました。(部長や理事等に昇格するときにも同様の試験がありました。ただし立場が変わると問題も高度になっていきます)

どんなに職場で頑張って成果を出していても、著しくインバスケット研修などいくつかの客観的なテーマで必要な点が取れなければ昇格できないとする運用は少し厳しいようにも見えますが、推薦する職場ごとのバラつきを抑えるためには必要だったのでしょう。

インバスケット研修は私が受講した当時は紙で行われていました。その人がどういうシチュエーションにいるのかが書かれている紙の他に、封筒に入っている案件が20から25程度あります。シチュエーションは何らかの事情で急にある課の課長になり、海外出張に出かけるまでの2時間に限って、案件を処理することができるという感じになっています。

案件を見ていくと、ゴルフの誘いのような一見は重要度も緊急度も低そうなものから、顧客からのクレームなどの重要度も緊急度も高いようなものまで、いろいろな案件がそろっています。また、各案件には関係があったりして、最初に処理した案件では「どうでもいい」案件に見えても、後の方で出てくる案件と紐づけて見ると重要な案件に変貌したりします。

したがって、案件を処理するときは、案件1から順番に返答や依頼などを書いていると、後になってから大きな手戻りが生じます。特にインバスケット研修では短い時間の中で強いストレスがかかった状態で案件処理を行うことになるので、手戻りに気が付いたときの精神状況はボロボロです。

したがって、最初にやらなければいけないことは、各案件をザっと全て読んで、関連ありそうな案件を関連付けておくことです。そして、緊急度も重要度も高いもの、緊急度は高いけれどもさほど重要ではないものなどにグルーピングして、各案件グループの処理順番を決めます。あとはその決めた順番に従ってしっかりと進めていく形になります。

インバスケット研修のテーマは自分が勤めている会社と同じ業種で設定されることもあれば、全く違う業界を前提に設定されていることもあります。どちらにしても、自らが蓄えてきた常識や経験でそれぞれの案件グループの背後にある真の問題も意識しながら返信や依頼を作ります。

世の中にはインバスケットの教科書や練習問題集など多く出回っています。過去、昇格試験を受けた人を見つけて、どんな問題が出たか、どんな点に気を付けて回答したかなどはまず確認しておいた方が良いです。また、その方に聞いた内容に近い問題集を見つけて、事前に練習しておくことで、本番であわてることも少なくなると思います。

ただ、一番大事なのは受験テクニック以前に、日常の業務の中で発生する問題などに対して、常に正しい案件の処理はどうすることがベストなのかを考えながら行動することなのではないかと思います。マネジメントの方法は一つではないと言われるように、インバスケットの処理の正解は一つだけではありません。日常業務の中でいろいろ試してみてはいかがでしょうか。

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