小林製薬の紅麹(べにこうじ)成分入りサプリメントによる健康被害が大きな問題になっています。日本腎臓学会も会員に対して注意喚起を実施しています。
小林製薬が販売した「紅麹」成分配合のサプリメントを摂取した人から、急性腎障害等の腎障害を含む健康被害が相次いで報告されています。
日本腎臓学会
腎障害の起因成分の同定はなされていませんが、小林製薬は製品の自主回収を行っています。会員の先生方の診療現場にも該当患者さんがおられるかも知れません。学会としても、事態を注視し、適宜情報を発信してゆきたく存じます。
紅麹原料を用いた小林製薬のコレステヘルプの商品レビューを見ると、コレステロール値が180から120にまで下がったなど、大きな効果に驚きの声が多く投稿されていました。
ここまで、効果が高いとなると、もはやサプリメントというよりも、薬に近い位置づけだったのではないかとも思います。
薬であれば、長い治験の期間を通して薬の安全性が確かめられて国に認可され発売という流れになりますが、サプリメントとなると安全性の検証がどこまで行われているのか定かではありません。
だんだん年を重ねると血液検査の結果が悪くなって、健康診断などで、「そろそろコレステロールの薬を飲みましょう。お医者さんで診察を受けてください」という話になることがあります。ただ、薬を飲むということになると、なんだかとても気が重くなります。
しかし、サプリメントを飲むのは不思議なことに何となく気軽に始められてしまいます。副作用があるような印象もありません。そんなサプリメントが逆に健康を害することになっていたという今回の事案は非常に怖いです。
また、健康被害にいたった原因物質の特定もまだ出来ていません。「未知の成分」と報じられています。小林製薬では、紅麹菌とは別のカビなどの異物が混入した紅麹菌自体が想定しない成分を生み出したの両面で調査するとしています。
近所のクリニックに行って、健康診断のときの血液検査の数値などを見てもらって診察をしてもらうと、コレステロールを下げる薬の処方箋を出してくれます。薬が処方されたあとは、最初は一ヶ月単位、安定していれば2ヶ月単位でお医者さんに行って処方箋をもらう形になりますが、やはりお医者さんと定期的にCommunicationできるのは心強いです。サプリメントや機能性表示食品に関しては、そのあり方が見直される時期に来ているのかもしれません。現在の機能性表示食品に関わる制度では、事業者が安全性や機能性の科学的な根拠などを消費者庁に届け出て、事業者の責任で販売する形になっていて、品質管理や健康被害が起きた時の対応はガイドラインで定められているに過ぎず、法的な義務づけはありません。
消費者庁が設置した検討会では5月23日の会合で機能性表示食品の制度の見直しに向けた報告書案をまとめます。報告書案では、
- すべての機能性表示食品を対象に、医師の診断を受けて健康被害の疑いが否定できない情報が医療従事者や消費者から寄せられた時は、事業者は、症状の重さにかかわらず国に報告すること
- サプリメント形状の機能性表示食品について、適正な製造工程管理の規範=GMPに基づいた安全管理を行うことを、それぞれ法的に義務づけるべきだとする
などの提言がまとめられる予定です。
コメント