VMware Cloud on AWSはAWSが提供するクラウドサービス上で、「vSphere(仮想化プラットフォーム」や「VMware Virtual SAN(仮想ストレージ)」、「VMware NSX(仮想ネットワーク)」などのVMware製品をオンデマンドで利用できるサービスです。
しかし、米国のBroadcom社が米VMwareを買収したことを受けて、「VMware Cloud on AWS」で、AWSが本サービスを新規に販売できなくなってしまったことが報じられています。ブロードコムのホック・タン社長兼CEOが2024年5月6日に同社の公式ブログで下記を発表しました。
- VMware Cloud on AWSが無くなるとの誤った報道がある
- VMware Cloud on AWSを、AWSが直接販売したり、AWSのチャネルパートナーが販売したりできなくなるのが事実だ
したがって、従来はAWSやAWSのチャネルパートナーが販売することができたサービスでしたが、今後はブロードコムやブロードコムのチャネルパートナーだけが販売できるようになります。AWS経由で購入をしていたユーザーは既存の契約期間内では従来の条件でVMware Cloud on AWSを利用できますが、契約期間終了後は改めてブロードコムと契約し直す形になります。
AWS日本法人でもAWSがVMware Cloud on AWSを販売できなくなったことについて事実であることを認めています。AWSは2024年4月29日にAWS公式ブログで、2021年から提供されている「AWS Application Migration Service」を利用したVMware仮想マシンをAmazon EC2仮想マシンに移行する方法を告知しています。
今回はAWSからブロードコムに販売元が変わる形で、現在AWS上でVMwareを使っているユーザーはそのまま利用できる形になります。
しかし、日経クロステックによると、大手金融機関で情報システム部門の管理職から「VMware製品を扱うリセラーから、突然ライセンスの契約更改を迫られた」、「実質年間1億円の値上げになるシステムもあり、どうしたものか困っている」といった影響が寄せられていることも報じられています。

値上げにつながる原因は、米BroadcomによるVMware製品のライセンス変更です。それまで提供していた買い切り型の永続ライセンスを廃止し、サブスクリプション(定額課金)型に移行することを発表しました。従来は基本的にCPU単位だったライセンス料金も、コア単位の料金に変わった。このため「システムによってはオーバースペックになるのを避けられず、結果的にコスト増になる」と報じられています。
VMware Cloud on AWSの提供元が変わること以上に、こちらの値上げの方がVMware利用者にとっては影響が大きいかもしれません。
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