プロジェクトXのスパコン「京」でその後富士通を去った本当の開発責任者を外したとの報道

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 6月15日に放送されたNHKの新プロジェクトX〜挑戦者たち〜に関して、気になる中京スポーツ誌の新聞記事がありました。

 この日は理化学研究所と富士通が共同開発した世界一の計算速度を達成したスーパーコンピューター「京」が扱われました。この番組終了後にこちらのTweetがあったことが取り上げられています。

京の開発責任者で、その後富士通と道を違えた父が一切出ず、直属の上司や部下で、今も富士通との関わりが深い人のみが登場する内容には、家族としては非常に複雑な気持ちである。集合写真で真ん中でガッツポーズを決めてたのに

 さらに調べてみると、井上愛一郎氏のことだということも分かりました。2012年に富士通のフェローになられたあと、2013年に理化学研究所に行かれています。

 富士通公式サイトでは、2012年4月10日付の「平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において科学技術賞を2件受賞」というニュースリリースが出ています。この中で、井上愛一郎氏に関しては「スーパーコンピュータ技術の開発育成」という案件名で下記の通り受賞理由が掲載されていました。

当社は産業の発展とともに高まるスーパーコンピュータへの社会ニーズを受けて、CPUを始めとする中核技術を独自開発し、世界最高レベルのスーパーコンピュータシステムを提供しています。受賞者は入社当初からスカラ型のCPU開発に携わり、世界一を獲得したスーパーコンピュータ「京」の心臓部であるCPUにも使われている、数々の重要技術を開発しました。またCPUを中心にスーパーコンピュータシステム開発を牽引することで、各分野で優れた専門スキルを有する人材を育成し、今後のスーパーコンピュータのさらなる発展、開発推進の基盤構築に貢献しています。

 Wikipediaで「京」と井上氏の関係を確認すると、2009年6月から富士通の常務理事、2010年9月28日に京1号機をかほく市の富士通ITプロダクツの工場から出荷したという記載がありました。

 また、現在は日新ネットワークス株式会社の非常勤取締役に就任されており、こちらには「京」の開発責任者であったことが明記されていました。

井上愛一郎の紹介 | 日新ネットワークス株式会社
日新ネットワークスの技術顧問である井上愛一郎のご紹介です。

 こちらにはエコノミストオンラインが本人に取材した2020年2月の記事があります。

ワイドインタビュー問答有用:スパコンの栄光と挫折=井上愛一郎・元「京」開発責任者/781 | 週刊エコノミスト Online
スーパーコンピューター「京」世界一を主導した天才肌のエンジニア。だが目標達成が見えてきたその時、部下100人を奪われ富士通で居場所を失った。不遇を乗り越えた今、高校生へのIT教育に情熱を注いでいる。

 こちらには、下記の気になる記載があります。

スーパーコンピューター「京」世界一を主導した天才肌のエンジニア。だが目標達成が見えてきたその時、部下100人を奪われ富士通で居場所を失った。不遇を乗り越えた今、高校生へのIT教育に情熱を注いでいる。

エコノミストオンライン

 「部下100人を奪われ富士通で居場所を失った」というのは富士通との間で何があったのかが少し気になる記載です。

 なぜ、プロジェクトXで井上氏を取り上げなかったのか、真の理由は判りませんでした。

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