テレビやメディアなどで凄い経営だと露出が増えるとピークアウトし危機を迎える企業

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 企業が波に乗って経営が軌道に乗り業績が向上すると、テレビや雑誌、ウェブメディアなどが社長などの立役者にインタビューなどを行い、いろいろなところで紹介されることも増えていきます。しかし、メディアが注目し、企業の露出が増える頃が経営のピークで、その後、業績が悪化する企業を目にすることも多いです。これはその企業が悪いとかではなくて、例えば日経平均株価一つをとっても、1980年代のバブル絶頂後半で、経済番組だけではなくお昼の情報番組でも「今は投資に注目」などという特集を組み、普段は投資に興味が無い人たちまで投資の話しをし始めるころに、バブル崩壊が起こるような現象と似ているのではないかと思います。

 ここ数年、いきなりステーキ、ステーキけん、東京チカラめし、ワークマンなど、急成長したあとに店舗数の削減や階段の踊り場に立っている会社がありますが、今度は格安のうな重販売で話題になっている鰻の成瀬がSPAの取材に答えている内容が気になりました。

 この記事の中で社長が語ったことのうち印象的なことは、

  • 厨房もわからないし、鰻に触ったこともない。正確に言えば、飲食に興味がないというよりは、究極的においしい食を出そうという意識がない
  • 「鰻の成瀬」でFCビジネスを上がるつもりはないし、当然、(バイアウト「創業者による事業売却」を)考えてますよ
    • 現在のFC店を気遣って、「加盟店が利益を生み、営業を続けられる環境を整えたら、初めて全FCの売却を考えます」との発言もあります

の二点です。社長の信条として、このような割り切った戦略で進めるのは良いと思うのですが、従業員や顧客が目にする媒体でこのような話しが掲載されるのは、いかがなものかと思います。従業員の中には美味しいものを消費者に提供したいと工夫をされている方もいると思いますし、他の会社に売却されてしまったらそのあと従業員はどうなるのかと心配になる方もいるでしょう。

 消費者も究極に美味しい食を提供しようという意識が薄いお店で食事をとることに迷いを感じる人も出てくるでしょう。鰻の成瀬の公式サイトには下記のアピールがあります。

  • 当店の鰻は育てる「水」にこだわり、くさみの無い鰻になるよう育てています。また、独自配合のこだわりのエサや、育成環境にも配慮することで、脂ののりも絶妙で他では真似できない、鰻の成瀬だけの美味しさを実現しました。

 社長は、「究極」は目指していないが「美味しい」鰻は供給したいと考えていると思うのですが、消費者には誤解を与えてしまい、社長の発言と上記のアピールを重ね合わせて読むと、せっかくのアピールがくすんでしまうようにも見えます。

 注目を集めれば集めるほど、少しのことも大きな誤解につながることもあるので、注意が必要ということだと思います。

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