最近、夜行列車はめっきりと減ってしまいました。各地に新幹線網が行き届くようになり、あえて夜行列車を使用しなくても昼間のうちに移動できる場所が増えたこと、夜行バス路線が拡充されたこと、飛行機がコモディティ化して利用しやすくなったこと、夜間は保線作業などに時間を充てられること、働き方改革で運転手や車掌、駅係員などを深夜に働かせることを避けたいことなどの影響があるのだと思います。
そんな中で、JR東日本は中央本線から大糸線を直通する臨時特急列車の「アルプス」を秋の2日間に限って運転することを発表しました。運行日は10月11日(金曜日)と11月1日(金曜日)の2日間、運行時刻は新宿駅発23時58分、白馬駅着6時22分となっています。金曜日に仕事を終えたあとでも、一回、自宅に帰って利用できそうな時間帯です。土日をフルに現地で活用できるので、登山などで重宝するのでないかと思います。
アルプスと言えば、昔は中央本線を走る急行列車に付けられた名前です。特急あずさの時間帯をぬってアルプスが走っていました。上越線では特急ときと合わせて急行佐渡があったのと同じ位置づけです。しかし、特急列車が頻繁に走ったり停車駅を増やした中で、急行列車は存在価値がなくなって、今はJRでは聞くこともなくなりました。中央本線では特急あずさとは別に走る「かいじ」が昔の急行列車の位置付けに近いかもしれません。
調べてみると、中央本線における「アルプス」の呼称は1952年(昭和26年)4月15日に遡ります。夜行臨時準急列車でした。1960年4月には準急列車から急行列車に格上げ、昼行列車となります。1986年11月にはアルプスの昼行列車は全廃、アルプスとしては夜行列車のみ残り、上りは2001年12月、下りは2002年12月に急行アルプスが臨時列車化されます。これで急行アルプスの定期運行はなくなってしまいました。
1984年2月時刻改正以降の当時は急行「アルプス」は臨時を合わせて11往復もの列車が運転されていました。ほぼ、1時間に1回は運転されていたような状況です。
当時の急行アルプスは165系の湘南色の電車がモーター音を鳴り響かせながら走っていくのを、三鷹と武蔵境の間にあった跨線橋で見ていたことを思い出します。さすがに、今回の臨時夜行列車は165系で運転されるわけではなく、E257系電車9両編成で運行されます。2001年から2005年の間に製造された特急用車両です。
中央本線の場合は競合する中央高速の高速バスが週末になると渋滞の影響で時間が読めなくなるため、今でも列車の方が安心して利用できます。中央高速の渋滞対策工事(新小仏トンネルの採掘など)が進むことや中央リニア新幹線の建設で状況が変わるかもしれませんが、ぜひ今後も優等列車が頻繁に走る路線であってほしいです。
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