家電量販店のノジマから驚くようなニュースが発表されました。パソコンを製造・販売するVAIO株式会社とVJホールディングスの約93%の株式を約111億円で取得します。譲渡契約は11月11日付で締結し2025年1月6日から効力が発生します。
VAIOは元々はSONY株式会社で1996年に発売が開始された国産のパソコンです。しかし、2005年にはSONYのエレクトロニクス部門でAIBO(ロボット)やCLIE(PDA)などに続いて収益改善が見込まれない製品群という位置づけになっていました。
2014年2月6日にSONYは全世界でのパソコン事業を終息して、特別目的会社に譲渡して、SONYはその会社へ5%の出資をするだけで、実質的にはSONYはパソコン事業から手を引く形になっていました。そして、2014年7月1日にVAIOの事業は正式にVAIO株式会社に移管されていました。
今回のノジマによる買収が行われても、「VAIOの独立性は尊重され、社名、代表取締役・経営執行陣、事業運営方針、お客様との関係およびブランド商標に変更はございません」とVAIO株式会社では発表しています。また、ノジマでは今回の株式取得理由について、「両者の顧客基盤を活用した双方の事業機会の創出・拡大や、ノジマグループの安定的な財政基盤を生かしたVAIO財務戦略の強化・推進など、それぞれの強みを生かしてグループシナジーを発揮し、純国産PCメーカーとしてのVAIOの魅力を国内外に届けるとともに、ノジマグループの企業価値のさらなる向上を目指すため」と説明しています。
ノジマと言えば、富士通傘下にあったインターネットサービスプロバイダーのニフティを2017年4月に250億円で買収しています。
買収当時は「単なるモノ売り、単なる通信回線の販売ではなく、新しい社会をつくりたい」という構想が語られていましたが、その後、ニフティがノジマ傘下に移った後、あまり華々しい成長をしたというイメージがありません。ノジマの2025年3月期上期決算説明会資料を確認してみると、定性面では「ニフティでは@nifty光、オプションサービス等が好調に推移」の記載しか見つけられず、具体的にどんな取り組みが行われているのか具体的に調べることができませんでした。
今後、日本国内では少子高齢化と人口減が進んでいく中、家電量販店についても今のままの戦略で営業を続けても、徐々に苦戦を強いられるようになることは明らかです。NIFTYの買収や今回のVAIOの買収を通して、今後、事業を継続していく中でどんな付加価値がノジマとして付けられるのか、その展開が気になるところです。
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