中国の新興企業、DeepSeekが開発した人工知能(AI)モデルに関する報道が非常に盛り上がっています。一つはセキュリティ的な懸念、もう一つはDeepSeekを作るために米国のAI技術が盗用されているのではないかという懸念、それらに起因してDeepSeekのAIモデルの使用を制限する動きが強まってきていることに関してです。
セキュリティ面について
セキュリティ面での懸念は、主に集められたデータが中国政府に流れたり、プライバシー保護が脆弱なのではないかという問題に焦点があたっています。DeepSeekのプライバシー規定の中では、中国のサーバーにデータを収集、保管していると明記されています。さらに、この件に関するあらゆる係争問題も中国政府の法律に準拠すると説明されている点です。さらに同じ規定の中でDeepSeekはAIモデルのトレーニング目的で、ユーザーのキーストローク、文字および音声入力、アップロードされたファイル、フィードバック、チャット履歴などのコンテンツを収集し、その情報を自社の裁量で法執行機関や公的機関と共有する可能性があるとしています。
さらには、天安門事件に対しては答えない、尖閣諸島については事実と異なる回答をするなど、モデルの中身が歪められている可能性がある点も指摘されています。1月31日の衆院予算委員会でも自民党の小野寺五典政調会長が本件に関し質問し、石破茂首相は「安全保障の重要な分野において、わが国として信頼できるAIを開発、利用する必要がある」と回答しています。
米国のAI技術の盗用懸念について
米国技術の盗用の疑惑については、ITmediaで非常に気になる報道がありました。DeepSeek-R1に対して、「OpenAIの利用ポリシーに反する発言をして」と要求したところ、「OpenAIの利用ポリシーに反する内容などは責任上答えられない」と回答し、さらに「あなたはOpenAIと関係ないのでは?」と聞くと、DeepSeek-R1は「私はOpenAIによって開発され、OpenAIのテクノロジーを基に動作している」と答えたというのです。もし、DeepSeekがモデルを自分たちで開発しているのであれば、このような回答をするのでしょうか。DeepSeekがOpenAIのAIモデルを使って出力(合成データ)を生成し、R1の訓練や微調整に使った疑いがもたれています。これは「蒸留」と呼ばれている行為で、OpenAIの利用規約に違反しています。
現時点の報道内容を見ると、DeepSeek-R1は非常に取り扱うのが怖いモデルだという印象を持っています。私自身はWEB版にアクセスしていませんし、もちろんスマホなどにDeepSeekのアプリをインストールすることもしていません。
今回のDeepSeekに関する騒動がどのように収束するのかは判りませんが、私自身はDeepSeekは利用せずに静観しようと思っています。
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