YouTubeでは色々な投資系YouTuberが自己の利益を目的として多くの動画を配信しています。誰とは言いませんが、昨年あたりは、
- 米国の大統領が変わったときには、米国の株式市場が大きく上がる
- 2025年のNISA投資は年初一括投資がお得
- 相続や退職金等で大きな金額が手元にある場合は長期間で分割して投資するよりも、決めたアセットクラスの配分で一気に投資したほうがいい
- 例年の株式市場は3月までは株価が上がり、4月に下がる
といった論調が大変に多く語られていました。
もちろん、どのYouTuberも「投資は自分の判断で」といった、もしも自分が語っている内容と違う未来が来ても、自分の立場が不利にならないような準備はしていますが、本当にこの程度のことを付け加えたことで、責任を免れることはできるのでしょうか。
今年1月にトランプ大統領が誕生したあとは、円高が進んでいるほか、関税の引き上げなどのカードをちらつかせることで、米国S&P500は2025年当初と比較して大きく下げています。もしも、投資系動画に従って年初一括で購入している場合は元本割れになっている状況です。
このような状況になっても、投資系YouTuberは、
- 下がったときこそ買い時
- 今回の下げは過去のITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックの下げ幅と比較したら小さい下げなので心配に値しない
- 下がったときに売ってしまうと、上がるチャンスを逃してしまう
- 投資は20年とか30年といった長いレンジで実施するもの。短期での上がり下がりに反応してはいけない。ドルコスト平均法で買い続けることが大事
- もしも、極端に家計のことが心配になっているのだとしたら、それは余裕資金ではなく必要な資金で投資をしている可能性が高い。投資はあくまで余裕資金で
- 投資は自分の判断で行うこと
といった論調の動画を上げ続けています。今の段階では年初一括投資について触れるような動画は新たに上がらなくなりました。
最近の論調を見ると、たとえ「投資は自分の判断で行うこと」といったことを言っていたとしても、これから先、とても大きな下げが発生したときに訴訟等になった際、司法は投資系YouTuberに対してどのように判断するのか、とても心配になります。人の権利や財産に関わるアドバイスは十分な知見を持ったことが証明されている士業と言われる人が行わなければいけないと思ってなりません。
特に「余裕資金」かどうかは、そのときの社会情勢、自身や家族の健康状況、雇用状況、家族構成などの変化で、直ぐに必要資金に変わリます。
また、上記とは全く別に「こんなに暴落したから手放すべき」という論調の動画を見受けますが、これも有害だと思います。
YouTube動画で「過去の傾向はこうだった」と事実を説明することは大きな問題ではないと思いますが、誰も分からない未来に対して「こうした方がいい」と受け取られてしまうような論調の動画は規制したほうがいいと思います。
テレビで投資の情報を放送するときは識者の意見なども踏まえて、「こうした方がいい」と言い切る番組を目にすることはありません。YouTube動画もテレビと同等の勢力になってしまってきているので、今後の議論が必要になると思います。
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